21.8.19

あの日、神様に願ったことは 感想

だれに響くのかはわからないが、sgdnにはとても響いた作品だった。






1年に一度、一人だけ願いを叶えられる町の話。
ただし、願いを叶えるには試練を越えなければならない。


主人公の高校2年生は、試練を越えようとする高3のヒロインに出会い、振り回される。




何が良かったのか。
それは、色づく世界のようだった。
『色づく』は、カメラを材料に使ったが、全くカメラへの愛情のない作品だった。
そこに色はなかった。


しかし、この作品は違う。
ちゃんとカメラという存在を生かしている。


今どき、フィルムカメラとかハーフサイズとか現像とか言われても意味がわからない気もするが、
結構な情熱を主人公が書けているとわかる。
いや、カメラに詳しくない人はわからないかもしれない。何やってるかわからないかもしれない。



だが、「カメラは何のために存在するのか」「誰のための写真なのか」というテーマの描き方が良かった。

カメラに限らず、小説も演劇も「誰のため」「誰が望むのか」「誰が評価するのか」というのは表現にはつきまとう問題だ。



この物語は一見、ヒロインが問題に立ち向かうかの様に見えるが、
実際に立ち向かう運命に遭っているのは主人公だ。それがとても良かった。

1巻では終わらない終わりになっているし、すでに2巻も発売している。
続きに期待しておく。




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