26.7.19

パドルの子 感想



([あ]11-1)パドルの子 (ポプラ文庫)
虻川 枕
ポプラ社 (2019-06-05)
売り上げランキング: 262,010



中学二年生の主人公が、ある日突然屋上の水たまりで泳ぐ少女に出会う、という話。

始めは普通の世界だ。だが、話が進むにつれて世界が変化していく
世界の変化に気づくかどうかは人次第。


伏線は張られているが別に気付かなくてもいいや、という感じ。
シュタゲの様な「変化した部分が重要」というわけでもない。
2回読めば気づくけれど、そこまででもない作品だ。

「伏線気づいてくれ」という書き方でもないので、
ただなんとなく読むだけで良い気もする。




主人公→ヒロイン→親友
という一方通行の恋愛事情。そして死亡エンド(もともと死んでいたが)。

車通学してたのになくなった等、読者世界改変に気付けるが、
「主人公は自覚できない」という視点で書かれているのでインパクトがない


設定の発想は良かったが、全体的に退屈な印象だった。
運命探知の魔眼のないシュタゲを作ったとしても、そっちのほうが面白いだろう。




物語



世界は変化していくが「水源」のある世界が主になるだろう。
ところでヒロインの名前は「水原」だ。
担任が「大森」「小林」と揃えてきてるので、この辺も狙って遊んでいるのだろう。


旧校舎屋上にある水たまりでは、潜ることで世界を変えることが出来る。
ただし、具体的な変更点を指定しなければならない。これをパドルという


水源は海にある。海の水を吸い込み、定期的に吐き出す。
その吐き出した水は川をさかのぼり、再び海に流れ着く。

すごい仕組みだ。
そもそも「水源を作りたかった」ではなく「雨を消すために水源を作った」のだが。

雨がなくなった世界では、「雨」という漢字もなくなった
その世界では「電話」は「伝話」と表記されている。



物語は「親友の母親を救う」を目的としている。

交通事故が原因なら雨をなくし
脇見運転が原因なら携帯電話をなくし
それでも交通事故が起こるので車をなくす

だが、車をなくしても母親は死んでしまう。
ここにアトラクタフィールドがあるのか?と思われたが…



「旧担任が新担任を殺したのを隠すため」に母親が殺された事をつきとめ、
校庭に木を植え、新担任が落ちても死なないようにした。



これで解決と思いきや、ヒロインは「水源を作ったせいで多くの人が死んだ」と、
全てなかったことにすると言い出す


小林もヒロインも、パドルによる世界改変で生き返った存在だったのだ。
ヒロインは親友母の夢を長電話で聞いたし、
小林の夢の話をしたのは主人公だ。


主人公も世界を戻す事に賛同。
しかし、パドルは実行者しか世界改変の記憶を引き継げない。
ヒロインを忘れたくない主人公は、自ら世界改変を行うと主張。



水たまりのあった旧校舎屋上にプールを作る。
結果、小林は屋上から突き落とされなくなる→小林生存
大森は口止めする事件を起こさない→親友母生存

そして、泳げない親友・ヒロインは元のままで、ヒロインは小学生の時に行方不明。
そのまま物語は終わる。











世界改変メモ

元の世界

  • 親友、水泳教室をまともにする(ヒロインが復活する)
  • 水源を発生させる(雨がなくなる)
  • 車がなくなる

親友転校

  • 携帯電話がなくなる(主人公、ヒロインを目撃)
  • 公衆電話にお釣りシステム
  • 飛行船システム(すぐにリジェクト)
  • 校庭に木を生やす(新担任・母親生存)
  • 龍を作る
  • 世界を戻して水溜りの代わりにプールを作る(天文学部の消失)


順番については曖昧。
中学2年生の8日間の出来事、と宣伝されていたが。おおよそそんな感じなのだろう。



その他

元の世界でヒロインはいつ死んだのか?
→改変後の世界では「小学生の頃から行方不明」と書かれているのでその時期では?

旧担任、親友両親は同学年?
→親友父に憧れて母は卒業時に告白、という文もあったが、3人は同級生とも書かれていた気がする。世界改変の結果か?

旧校舎の屋上にプール作っても取り壊されて終わりでは?


0 件のコメント:

コメントを投稿