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桜井政博氏。
ゲームについて調べたことがある人なら知ってるだろう名前。
ファミ通で連載していたゲームについて思うことシリーズの書籍もあるが、
この本は桜井氏が語るものではない。
桜井氏については他者から語られる書籍よりも、
氏が自ら発信する書籍のほうが多い。
本作は桜井氏を描いた漫画。
誰に向けた本?
氏の子供時代、ヴィデオゲームに興味を持つところから始まる。
1章あたり22ページぐらい?コラムが挟まって前後する。
エアライダを作るまでに時間があるのでyoutubeを…というところまでを描く。
youtubeでは進行中の企画は明かされていなかったが、本作では明かされている。
そうはいっても内容は既出。
氏のyoutubeやコラムで語り尽くしている。
美味しいところを漫画化した本。
氏の既存のファンならもう知ってるし、
知らない人なら「桜井政博」なんてタイトルの漫画を読もうと思わない。
氏のファンが布教したい…という本か?
ライバルは仕事本
氏の生い立ちなどを知りたいなら
なんでその仕事をえらんだの?のほうがライバルになる。
ヴィデオゲームに関わる仕事につきたいならこっちを読むだろう。
氏については8ページしかないけど。
あくまで広く仕事を紹介する本。取っ掛かり。
ちゃんと考え方を知りたいなら氏のyoutubeやコラムに繋げれば良い。
thank you iwata
岩田聡氏。
任天堂の社長として、直接発信したことで有名。
だが、その前に桜井氏と同じHAL研にいた。
氏のyoutubeでも思い出が語られているが、本作でも語られている。
それほど大きい影響を与えたのが岩田氏だ。
最強の世代
漫画には青沼氏や宮本氏も登場する。
ヴィデオゲームの黎明期を作った彼らが同じ時代に生きていたのは幸運だったし、
それに支えられた桜井氏もまた幸運だった。
為すべきことを為す
任天堂は昔花札を売ってた…なんて小ネタがあるが。今も売ってるが?
昔からの企業の意識として「娯楽は必需品に負ける」がある。
お金がなくなったら始めに削られる部分。
そういう意識を持って製品を作っている。
「ヴィデオゲームを遊んで、自分でも作ってみたい」という後追いではなく、
「ヴィデオゲーム業界を開拓しなければならない」という意識があるようだ。
だから、社長も「やりたい人がやる」ではなく「経営がうまいからやる」。
勝つための役割分担を行っているように感じる。
岩ちゃんも元はプログラムが担当…だったが、
経営の手腕を買われてHAL研から任天堂社長に抜擢、業界を任されるようになった。
惜しい人を亡くしたが、その意志はまだ継がれている。
情報発信者として
桜井氏が情報を自ら発信しなければ、と思ったのはおそらくスマブラ(64)だろうか。
初めてのスマブラ。
流通や販売店に理解されなかったので自分で発信せざるを得なかった。
それからというもの、氏は自分で宣伝することの重要性に気づく。
ニンテンドーダイレクトも始まる
少し遅れて、任天堂も岩ちゃんが直接!「社長が聞く」や「ニンテンドーダイレクト」を始める。
始まったのは主にアフィブログの影響?
情報を曲解して炎上するようなblogを書き、アクセス数で稼ぐヤツらがいたせい。
いままでは各種メディアに情報発信を頼っていたが、
誤った情報が広がらないように直接伝える必要に迫られる。
任天堂が自社発信に切り替わったのには、
事前に桜井氏が自ら発信する実績を作っていたのも参考になっただろう。
かつて新作情報と言えばE3だったが、
ニンテンドーダイレクトに集約した任天堂が不参加になり。
各社もアフィブログを嫌って自社発信しE3は終焉した。
自社発信のしやすい時代になったのもある。
業界の利益のため
桜井氏がゲーム制作の知識を公開することはライバルを増やすことにしかならない。
しかし、業界全体としては大きな利益だ。
「どの様な考えでゲームを作ったら成功したのか?」という大きな知見になる。
もちろん「かつて成功した」といって「次も成功する」とは限らない。
生存者バイアスはある。
これも任天堂のやっている業界の開拓のようなものだ。
全体がより良くなれば良い。
ヴィデオゲームは画質も音質もよりリッチになった。
しかしインディで作る手軽さは上がった。
そういう人達の目に止まって、ヴィデオゲーム業界が少しでもより良い方向になることを願う。
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