森博嗣といえば小説の方が有名な気がするが。(特にすべてがFになる)
新書を書くことも度々ある。
今回は比較的時期も近かった2冊の新書について。
発売順はジャイロモノレールのほうが先だが、悲観する力、から。
悲観する力
悲観と聞くと「絶望」すること…
の様に取られてしまうかもしれないが、全くそんなことはない。
森博嗣の本を見れば何度か見ている(と思う)、「工学で言う安全側に倒せ」ということだ。
情報学で言うとロバスト…ちょっと違うか?
「すべてうまく行くとは限らない。トラブルが有っても安全であるような設計に」
みたいな感じだろうか。
そのため、決して「屈服しろ」という意味ではない。
すべての人は悲観・楽観どちらかになったほうが良いということではなく、
楽観する人と悲観する人とは協力した方が成果が出る、に近いだろう。
例えるならばジョブスだけでは成功せず、ウォッズがいたから成功した
みたいなものだろうか。日本の経営者はウォッズが居ないので失敗している。
ところで「ゆとり世代」という言葉があるが、ゆとり世代はもう30歳を超えている。
つい初めて仕事をする高校生や新卒へ文句を言う祭に「ゆとりは…」っと言ってしまうが、そのうち死語となるだろう。
昔のように「最近の若者は…」というようになるのだろうか。
気になった文面としては、モデラの加工についてだ。
- 慣れている人は絶対に失敗しない方法を取る。
- 初心者は失敗する可能性のある方法を取る。
というもの。
本来なら、慣れていようが初心者だろうが加工に失敗したくない。
悲観が足りないから、失敗しない方法を取ることが出来ない…と書かれているが、これは正しくないように思える。
初心者は経験が少ない。いくら悲観しようと失敗に至ることを想像できないのだ。
慣れている人は、おそらく以前に失敗したことがあるのだろう。失敗したことがあるから、その策は取らない。
すべての人が悪いパターンを網羅できるわけではない。経験を積まなければならない人もいるのだ。
悲観力は経験によってまかなえる。
どんな人が読むべきか?
いわゆる悲観している(絶望している)人は読んでも全く意味がないだろう。
「悲観してる人を馬鹿にしている人」への警告のようなものなので、
自身にあふれているが失敗している人に向いている本だと思われる。
ジャイロモノレール
こちらは「趣味」への警告だ。
日本人は老人の趣味というと「花を学ぶ」「茶を学ぶ」など、教えてもらうだけだ。
インプットしかしない。だから老いる。
研究を趣味にすると、アウトプットする。だから老いない。
…というのもあるが、基本的には真面目な趣味の研究をまとめた本だ。
どこかの感想に
ピッチだローだとわかりにくい。まあ、電車マニアということだろう。
というのがあり、「日本語わからないのに頑張って読んだんだな…」と思ってしまうが、
電車の本ではない。
「モノレール」とタイトルに付いているので電車・列車に関するものかと思ってしまうが、これは物理学の本だ。
だが、物理について学んでいなくてもわかるように書かれている。
流石に中学生はすぐに理解できないかもしれないが、高校生以上なら理解できる内容だ。
ジャイロ(コマ)を傾けるとどうなるか、感覚的にわかりやすい例を上げてくれるのですぐ飲み込めるだろう。
すごいところは人脈だ。
時計技師の友人にジャイロモノレールの話をしたら、早々に試作機を作って安定させてくれた。
森博嗣氏も真似して作ろうとしたが、精度が悪いのか倒れてしまうという。
そして、完成とは行かないが定期報告を繰り返していると、各方面からジャイロモノレールに関する情報を教えてもらえる。
やはり趣味にはアウトプットが必要だなと思わされた。
どんな人が読むべきか?
本来は文系人間が読むべきだが、文系人間は考えることが出来ない。
そのため文系人間はそのまま呆けてもらうしか無い。
理系の人が読んで、趣味を楽しむ手段を増やしてもらいたいものだ。
アウトプットとは「完璧なものを見せる」という意味ではない。
趣味で研究し、途中経過などをアウトプットしてもらいたいものだ。
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